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国家資格と専門技術の両立が絶対条件
まず大前提として理解すべきは、チューニングやカスタムであっても、基礎となるのは二級自動車整備士などの国家資格であるということだ。
エンジンの基本構造や法規制(保安基準)を完璧に理解していなければ、性能アップどころか、単なる違法改造車や壊れやすい車を作ることになってしまう。
したがって、学校選びの第一段階は国土交通省の指定・認定校であり、整備士資格の合格率が高いかを確認することである。
その上で、2年制の整備科+1年の専攻科や、最初から3~4年制でカスタマイズを学べるコースを設置している学校を探すのが王道である。
特化コースの見極め方
整備士養成校の中には、特定の分野に特化したコースを設けている学校がある。自分の目指す方向性とカリキュラムが合致しているか、以下の視点で比較検討する必要がある。
レーシング・モータースポーツ科
速さを追求するコースである。サーキットでの実習が多く、タイヤの空気圧調整からサスペンションのセッティング、テレメトリーシステムの扱い方を学ぶ。ピットワークの練習など、チームとして動く訓練も行われるため、レースメカニックを目指す者に適している。
カスタムボディ・レストア科
見た目や造形に特化したコースだ。板金塗装の技術はもちろん、溶接、FRPやカーボン素材を使ったエアロパーツの製作、内装の張り替えなどを学ぶ。旧車を蘇らせるレストア技術もこの範疇に含まれる。自分の手で車の形を作りたい者に向いている。
チューニング・エンジニアリング科
パワーやメカニズムを深掘りするコース。エンジンの分解・組立(オーバーホール)に加え、吸排気パーツの交換、そして最も重要なECUの書き換えやセッティング技術を学べるのが特徴。馬力計測機などの設備が整っているかが学校選びの鍵となる。
実践力が身につくカリキュラムと設備環境
学校選びにおいて、パンフレットだけで判断するのは危険である。オープンキャンパスなどに参加し、実際の設備を確認することが不可欠だ。
例えば、塗装ブースはプロ仕様か、エンジンベンチやアライメントテスターは完備されているか、といったハード面は教育の質に直結する。
また、講師陣の経歴も重要である。現役のレーシングドライバーや、有名チューニングショップ出身のメカニックが指導している学校であれば、現場で即戦力となる生の技術や業界の裏話を聞くことができるだろう。
実習車両として、最新のスポーツカーから教材としての旧車まで幅広く揃っているかもチェックポイントの一つである。
卒業後のキャリアパスと業界の可能性
こうした特化コースを卒業した後の進路は、一般的なディーラー整備士とは異なる広がりを見せる。
チューニングショップ・カスタムショップ
最も直接的な進路である。特定の車種やジャンルに強いショップに就職し、師匠となるメカニックの下で技術を磨く。
レーシングチーム
スーパーGTやスーパーフォーミュラ、あるいはラリーやドリフト競技のチームメカニックとして帯同し、極限状態での整備を担当する。
アフターパーツメーカー
マフラー、サスペンション、エアロパーツなどを開発・製造するメーカーの開発職。CADを使った設計やテスト走行などに携わる。
レストア職人
近年、世界的に価値が高騰している国産旧車の再生を行う。高い板金技術と、ない部品を作る応用力が求められる。
自動車業界は電動化(EV)の波にあるが、EV特有のシステム制御や、電動車ならではのカスタムといった新たな市場も生まれつつある。また、高電圧を扱うための安全資格(低圧電気取扱業務等)の取得も必須となってきている。
確かな整備知識の上に、独創的なアイデアと技術を積み重ねられる人材は、どのような時代になっても重宝される存在となるはずだ。